
私と六本木を結びつけたのは、イタリアンレストラン『キャンティ』がきっかけでした。初めてお店に行ったのはデビュー前の16歳の時、'60年の頃です。青山のボウリング場で川添家の坊ちゃんたちに、「今度うちの店オープンするから来ない?」って誘われたの。それでどんなお店かも知らずに訪ねてみたら、丹下健三さんや黛敏郎さん、三島由紀夫さん、藤間のご宗家_といった様々な世界の方がいらしてる。好奇心いっぱいの10代の女の子は、そこで嵐のような“文化的洗礼”を受けたのよ。彼らが喧々諤々と意見を交わしてるのを聞いているだけで、本当に面白かった。オーナーの川添夫妻(川添浩史氏、梶子夫人)が素晴らしいのは、当時の私のお小遣いではコーヒー1杯がせいぜいなのに、それでも何時間も過ごさせてくれた。大先生も無名の少女も、同等に扱ってくれたのよ。私にとって、生きたお勉強ができる貴重な場所だったのね。