より多くの人々に六本木の魅力を再発見してもらい、"六本木の素顔を自由な視点で切り撮る"をテーマに開催している、六本木フォトコンテスト。

今回で第１０回目を迎えましたが、回を重ねるごとにレベルも高まり、思いと技術のバランスがとれた素晴らしい作品が沢山寄せられました。 　まちの空気や風景、アートが融合した多くの応募作品の中からグランプリとして選ばれたのは、「子供天国」です。これはアイデアのある遊具です。子供は遊びの天才で、ベンチを自分達専用の遊具にしてしまっているところを、あるがまま素直に捉えていて、子供達を大切にしたいという気持ちが伝わってくる作品です。次代を担う子供達へ思いもあり、グランプリに選びました。 　

金賞の３作品は現実の形を写真の形に置き換えるセンスの良さが光っています。「春の恋夜」は、このシチュエーションでカップルがいるのですが、この界隈の雰囲気を見事に醸し出しています。小さな噴水をキノコに見立てている「都心のキノコ」。縦の写真で遠近感を強調してキノコ畑になりました。「歩く絵画」六本木アートナイトでのパフォーマンスに、子供が反応しているところと、偶然絵を持つ人のパンツの色と子供の赤が結びついていますが、写真の中では重要な要素が出来ているという点が、視点の良さです。 　

そして銀賞の５作品。「水と遊ぶ」泡少年は無表情に見えますが、眼差しや口元にちょっと気負いが見えて微笑ましいかぎりです。「残照」は、粘り強さがこの時間をものにしました。そして水面に映った空との関係が劇的です。「そびえる」は、光の輪の中にビルがあるという感じが、いかにも都会の今風な写真になっています。「なにが見えるのかな」は、これはアートと女の子たちを収めているだけですが、その写真を撮るときの素直さがこの一枚に表現されています。そして「晩秋桧公園の池」は、このまちにごく普通に庭園があるということのありがたさが、この一枚によって伝わって来ます。 　

今回もとても楽しく審査をさせていただきました。入賞作品をご覧いただいてもわかるように、人とそしてこの地球を大切にしたいという気持ちが現れた作品が多く選ばれました。それぞれの作品に、個性的な努力の跡がうかがえて、これからも今まで見たことが無いような素晴らしい作品が、皆さんからより多く集まることを期待しております。

審査委員長　写真家　立木　義浩